孤独であるということ

30代後半で独身だと言うと、「早く結婚しなよ〜」と言われることは殆どなくなったが、
「老後がさびしくなるよ」とか「孤独死しないように」と言われたことはある。
心配してくれるのはありがたいが、アマノジャクな私は、余計なお世話だ、と思わなくもない。


配偶者がいれば、あるいは、子どもがいれば、年をとってもさびしくなくなる訳ではないだろう。

たとえば、私は高校生のころ、様々な事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもたちが
生活している施設にボランティアに行ったことがある。小学生の女の子と一緒に楽しく遊んで
いたときに、ついうっかり自分の親の話をしてしまい、あっ、しまった、と思う間もなく
みるみるうちにその女の子は顔を曇らせて無口になってしまった。あぁ、本当に悪いことを
してしまった、と心から反省した瞬間であった。

また、私の母親は老人専門病院に勤めていたことがある。身近に家族が住んでいるにも
かかわらず、家族からの許可が出ないので、家に帰りたくてもひっそりと病院でお正月を
過ごさなければならなかった老人たちが何人もいた、という話も母から聞いている。

何年も前に私が結婚していたころ、といっても別居寸前のころの話ではあるが、配偶者に
自分の気持ちが全く伝わらずに辛い日々を過ごしたこともある。あの頃は、同じ屋根の下に
二人で住んでいても、ひしひしと孤独を感じていたものだった。

家族がいる=孤独からの解放、ということではないのだ。


少なくとも私は、さびしさから逃れるためだけに結婚したり、子どもを産んだりしたくはない。
それよりもひとりで生きていくことのほうが、辛くても幸せだと思っている。

将来のパートナー探しは現在のところ、暗礁に乗り上げているが、いい相手に出会えなかったと
しても、ずっとひとりで生きていく覚悟はできている。それでも、全くパートナー探しを諦めた
訳ではないので、あせらず道をさぐっていくつもりではあるのだが。