私が地方から出てきた理由

私は大学進学以来ずっと、東京で暮らしている。
実際には神奈川県在住なので、東京文化圏で暮らしている、
という意味だと思ってほしい。


私が生まれ育ったところは、新幹線の駅もある、それなりの規模の
地方都市ではあるけれど、東京での暮らしやすさとは比べ物には
ならない。

メディア情報は東京中心に動いているとか、親しい友人はみな
関東地方に散らばっているということも、東京が過ごしやすい
理由のひとつかもしれない。


それよりも、女性がいつまでも独身でいることや、勉強や仕事に
打ち込むことで、マイナスの評価をされにくい、というのが
東京が暮らしやすい一番の理由だと考えている。



これは私の家庭特有の問題かもしれないが、
「女の子は女の子らしく、いろいろ気を利かせるべきだ」とか
「女の子は近所の高校に行って、短大でも出て、ちょっと
 働いてからお嫁に行けばいい」といったことを母親から
しょっちゅう言われていたのがとてもイヤだった。

男の子に負けない、いい成績をとることが、すなわち
母親の喜ぶことではないということを、中学生の頃から
うすうす感じ取っていたのだ。


もちろん私はこうと決めたことは押し通す性格なので、
その地方一番の進学校へ行き、一浪して東京の大学で
物理学なるものを専攻して、そのままメーカーで働き続けている。
自分で決めて自分で切り開いてきた人生なので、
後悔するつもりはひとつもない。


ただ、実家のほうに行くとどうしても
「女の子は結婚して旦那さんに養ってもらえば、親は一安心」
という価値観がまだまだ残っているのだ。
その空気感が私には息苦しく、つらい。